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東京地方裁判所 昭和60年(ワ)10910号 判決

原告 市川涓策

被告 学校法人 工学院大学

右代表者理事 高山英華

右訴訟代理人弁護士 五三雅彌

同 後山英五郎

主文

本件訴訟は、昭和六一年二月二五日に原告が死亡したことにより終了した。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  原告が被告の専修学校書記の地位を有することを確認する。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、被告との間で、昭和一一年四月、雇用契約を締結し、昭和五三年一〇月ころ、被告の専修学校書記の地位にあった。

2  被告は、原告に対し、昭和五三年一〇月三日到達の書面により、原告が同月三一日をもって定年退職となる旨の通知をし、同年一一月一日以降、原告が被告の専修学校書記の地位にあることを争っている。

3  よって、原告は、原告が被告の専修学校書記の地位を有することの確認を求める。

二  請求の原因に対する認否及び被告の主張

1  1のうち、原告が、昭和五三年一〇月ころ、被告の専修学校の従業員の地位にあったことは認め、その余は否認する。

2  2は認める。

3  被告は、昭和五三年九月二九日、定年規程を定め、同年一〇月一日から実施したが、原告は、その付則第六の昭和五二年一二月三一日現在の年齢が満七四歳以上の従業員の退職は昭和五三年一〇月三一日とする旨の定めにより、退職となった。

第三証拠《省略》

理由

一  職権をもって調査するに、本件訴訟記録によれば、原告は、昭和六一年二月二五日に死亡したことが明らかである。

本件訴えは、原告が被告との間の雇用契約に基づき専修学校書記という従業員たる地位を有することの確認を求めるものであるところ、被告の従業員たる地位は、一身専属的なものであって、相続の対象となり得ないものと解するのが相当である。

したがって、原告の相続人は、本件訴訟を承継する適格を有しないものであり、他にその適格を有するものも存しないから、本件訴訟は、昭和六一年二月二五日の原告の死亡と同時に終了したものといわなければならない。

二  よって、以上の趣旨を明確にするため訴訟終了の宣言をすることとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中豊)

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